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油彩画の画材
 
 油絵の具

油絵の具

顔料を乾性油で練ったもの。接着成分となる油の性質が油絵の具の性質となる。

ぼかしの作りやすさ、深みのある色彩を生かし、生々しい写実表現ができる。

描いたときと、乾燥後の色の違いが少ないので、微妙な色が調整しやすい。
 

油絵の具の乾燥

油絵の具は酸化重合により固まるので、ドライヤーでは乾かない。

しかし、気温が暖かいほうが酸化が早く進むので、いくらか早く固まる。
 

 油絵の具メーカー

メーカーの違い

油絵の具であれば、どのメーカーの絵の具でも混合して使える。

色名が同じなら、ほぼ同じ色であることが多いが、全然違う場合もあるので、色見本で確認する。

1メーカーで100色以上あるし、似ていてもけっこう性質の違う色があるので、茶色、こげ茶とかではなく

バーントシェンナ、バーントアンバーとかいう名前で覚えたほうがいい。
 

 油絵の具の顔料

顔料

きれいで永く変色しない土や石の粉などが、顔料として使われる。

古くからの顔料は土や石の粉末であり、新しいものは石油系の有機化学物質である。

一般に鉱物性の顔料は落ち着いた上品な色、有機顔料は派手で鮮やかな色に発色する。

写実的に描きたいときは、あまり派手過ぎるとリアルさが出ないので、鉱物性のものが使いやすい。

原色のまま使うと、派手すぎてきつくなりやすい。

 

 筆

筆選び

選ぶポイントは、毛の質、毛の長さ、毛の量、筆のつくりなど。

安い平筆の中には、毛の量が少なく薄っぺらい筆もある。

小さい筆ばかり使えば、細かい絵になりやすいし、大きな筆ばかり使えば、ざっくりした絵になりやすい。

どんな筆を使うかで、出来上がる絵も変わるのだが、結局は、自分にとってどの筆が一番使いやすいか

うまくいったかを考えて選ぶしかない。

筆により使い心地もかなり違うので、上手くいかないときは筆のせいにしてみてもいい。
 

豚毛

白く硬い毛で、油絵セットにも入っている。

硬く重い油絵の具を塗りつけるのに欠かせない。

豚毛の毛先を使ったものが上等で、毛元を使った安いものとは使いやすさが違う。

毛先を使ったものは毛が先へと自然に細く、毛元を使ったものは切り詰めたようになっている。

少し高価だがナムラ製の豚毛筆はとても使いやすい。

ごしごし描くには、安いもので十分。
 

セーブル毛

いたち、てん、コリンスキーの毛。柔らかい毛の筆。

高価だが、コシがありとても使いやすい。

細いものは、サインを書くのにも使う。丁寧に洗って使うと長持ちする。

アクリル絵の具に使うと、アルカリ性にやられて毛が縮れてしまうので注意する。
 

ナイロン毛

新品の時はいい感触で、とても使いやすい。使ううちに毛が傷んで毛先がカールしてしまう。

アクリル絵の具にはセーブルの代わりに使う。
 

マングース毛

セーブルと豚毛の中間の硬さ。しっかりしていて使いやすい。
 

ファン筆

ぼかし筆。この筆だけでぼかしを作るというよりも、セーブル筆

などで丁寧にぼかしを作った後、筆跡を消す程度に使う。
 

筆の弛んだ金具

金具がゆるむと筆がカクカク揺れて、とても描きにくい。ペンチで締めてもすぐゆるむ。

ギュッと金具に軸を押し込んでから、金具との隙間に瞬間接着剤を染み込ますようにして固めるといい。

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 ペインティングナイフ

ペインティングナイフ

刃と軸の角度により使いやすいものと、使いにくいものがある。

使っていると、刃が削れて鋭くなる。

危ないので、たまにやすりなどで刃を取る。

大、中、小、と三種類くらいあるといい。

   

 パレット

木製

桜などの板を使う。

折りたたみのものは、内側が使用面。

白く塗って、色が判りやすくしたものもある。

絵の具は、ばらばらに並べずに同じ色を近くに並べる。
 

紙パレット

重ねられた白い紙のシートをめくりながら、使い捨てで使用する。

毎日描かないのなら、どうせ残った絵の具は捨てるので、これが便利。

グレーのものがあり、色が見やすい。
 

自作グレーパレット

木製のパレットに、グレーのカッティングシートを貼って、作ってみた。

使ってみると、とても色の調節がしやすい。

白絵の具の加減や、色の透明度、色相、彩度がとても判りやすい。

白いパレットより優秀だと思う。おすすめ。
 

大理石、ガラス

大理石やガラス板などもパレットに使える。置いて使うパレット。

ガラス板の下には、白い紙をひいて使う。グレーの紙でもいいかも。
 
 

 オイル

ペインティングオイル、ペインティングメディウム

調合済みオイル。基本的には、これで十分。3種類以上の油が調合されている。配合はメーカーによる。

自分で調合する場合は、描き始めはさらっとしたもの、描き進めるほど徐々に濃いものにするのが基本。
 

テレピン(ターペンタイン)、ペトロール

調合用のオイル。さらさらした乾くと消える揮発油。

言わば、うすめ液なので接着力がなく、これだけで描くと、あとで絵の具がはがれる。

ぺトロールだけで描いて、二年も経たないうちに、絵の具がボロボロにはがれた絵を見たことがある。
 

リンシードオイル(亜麻仁油)、ポピーオイル(けし油)

調合用のとろっとしたオイル。乾くと固まる油。接着成分。

リンシードは少し黄変するが堅牢。ポピーは黄変はしないが、しわなどの危険が多い。
  

シッカチーフ

調合用の乾燥促進剤。絵の具の酸化重合を促進する触媒。

油壺に二、三滴入れても効果がある。入れすぎは厳禁、全量の10%以下にする。
 

 ニス

・ ニス ワニス バニッシュ などの呼び名がある。樹脂を溶剤で溶かしたもの。溶剤の揮発で硬化する。

・ 溶き油を厚く塗ってつやを出そうとすると、しわが寄るなど問題が多いので、画面のつやは、ニスで調整する。
  

加筆用ニス  ルツーセ  リタッチングバニッシュ

制作中の絵が乾き、画面のつやが消えると、暗い色が白っぽく見えて続きが描きにくくなる。

このときルツーセで画面のつやを一時的に復活させ、新しい絵の具とのつやの差を無くし描きやすくする。

樹脂成分は少なく調合されているが、接着の点からも、うすく塗るようにする。
 

描画用ニス  パンドル

溶き油の代わりに使うか、または溶き油に混ぜて使う。深みとつやのある画面が出来る。

絵の具に混ぜて使うと、つやが出るが、べたついて少し描きにくくなる。
 

仕上げ用ニス  タブロー

完成した絵に塗る仕上げ用ニス。

画面のつや出しと、有害ガスからの画面の保護のために塗る。(つや消し、半つやタイプもある)

油絵の具の乾燥は非常にゆっくり進むので、半年以上の乾燥の後に塗るのが理想的。

特に厚塗りでないなら、2〜3ヶ月で塗っても大丈夫。
 

 メディウム

・ 絵の具に混ぜて使う補助材。透明な絵の具のようなもので、たくさん混ぜても特に問題はない。
  

速乾メディウム  クイックドライングメディウム

乾きが速くなる。
 

盛り上げメディウム  ストロングメディウム

絵の具を極端に盛り上げたい時混ぜると、乾きを速くし丈夫にする。
 

透明メディウム  トランスペアレントメディウム

ゼリー状のもので、絵の具に透明感を与える。

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 キャンバス 支持体

キャンバス

麻地の布に油彩用の下地を施したもの。安いものは折り糸にだまが多く、下地もしなやかさに欠ける。

いい布は確かに描きやすい。描く前に下塗りを一層以上しておくと、高級キャンバスに近くなる。
 

板 

シナベニアなどに下地を作り、描くことが出来る。金属板にも描ける。
 

紙 段ボール

そのうち油焼けして紙が朽ちるかもしれないが、厚い紙なら結構持つ。

キャンバスとは違う独特の絵肌の魅力がある。
 

変形キャンバスを作る

簡単な作り方は、厚めの合板を好きな形に切って、キャンバス布を直に木工用ボンドで貼れば完成。
 

 筆洗い

スーパークリーナー、アプト

普通の揮発油の筆洗でなく、界面活性剤の筆洗液。

きれいに絵の具が落ち、一度固まった絵の具も時間をかければ溶かせる。

界面活性剤なので、洗った後水ですすぐ必要がある。だから、描画の途中では

使えない。

私は筆は描画中は洗わず、片付け時にこれだけでまとめて筆洗いをしている。

匂いも無いし、根元に絵の具が残ったりしないので、いつでも筆がきれいで快適だ。
 

 その他

ストリッパー、ホルベックス

カチカチに固まった絵の具も溶かす強力な剥離剤。

ストリッパーや、ホルベックスはどんな固まった絵の具も、短時間で分解する。

手につくとピリピリしみて、ひどいと火傷のようになるので気をつける。手に付いたら、すぐ水道で洗う。

固まった筆も再生出来るが、きつい薬品の割りにはそれほど筆の毛は痛まない。
 

パレットナイフ

パレット掃除用ということだが、あまり使わない。

パレットの掃除にはペインティングナイフの方が使いやすい。
 

木炭

油絵では下描きに使う。

下描きをフキサティーフで定着してから、油絵の具で描く。
  

フキサティーフ フキサチフ 定着スプレー

木炭やパステルなど、粉っぽい画材を定着する樹脂のスプレー。

霧吹きで吹き付けるタイプの液体のものも売っている。

絵の具の定着に影響があるので、油絵の下描きには、かけ過ぎないように気を付ける。

 

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 透明水彩絵の具

透明水彩絵の具   

色の透明度が高く、塗り重ねると下の色が透けてみえる。 

色の濃淡は、水の薄め加減で調節する。

真っ白にしたい部分は、何も塗らず紙の白を残して表現すると美しい。
 

 不透明水彩絵の具

不透明水彩絵の具  (ガッシュとも言う)

不透明なので、下の色を覆い隠すことが出来る。

暗い色の上に明るい色を塗ることが出来る。当然、薄めに使えば、透明水彩に近くなる。

ポスターカラー、児童用絵の具は不透明水彩のなかまである。
 

 水彩筆

水彩筆

水彩には様々な筆が使える。最上質のものはセーブル筆や、りすの毛のもの。

腰が強く、水を含ませると穂先がそろうものが使いやすい。
 
 

 水彩紙

紙の種類 

水彩画で発色に一番影響があるのが、紙の種類。

どんな紙にでも描けるが、水彩専用につくられた紙が描きやすく、発色もよい。

 ・ 紙の表裏  ふつう、ざらざらしたほうが表。透かしの入った紙は、透かしの正しく読めるほうが表。
 

紙の厚さ 

中くらい以上の厚みが良い。あまり薄いと紙の裏が透けて、少し発色が落ちる。

薄い紙に描いた場合は、額に入れる際、絵の裏に白い紙を一枚挟むと発色が良く見える。
 
  
 

 水彩画材

パレット

プラスチックのものは軽くていい。

金属製のものは、白がはっきりして色が見やすい。
 

水入れ

何でも良いが、常にきれいな水を使うこと。

水彩絵の具はにごりやすいので、パレット、水はきれいにしておく。

花など鮮やかな色を出したい時は、反対色が混ざらないよう気をつける。

右は、スケッチ用蛇腹の水入れ。

 


 

アクリル絵の具 画材編トップへ
 
 アクリル絵の具

アクリル絵の具

水で溶け、乾くと耐水性で保存性もいい。発色は明るくさわやか。

厚塗りすると油絵に近いし、水で薄めて塗ると水彩のようになる。

その中間の性質を持つ別の絵の具と考えると、理解しやすい。
 

絵の具の保存

長く使わない色は密封しておかないと、いつの間にかチューブごと固まっている。

ふたを下にして立てて保存すると少しまし。
 

 アクリル筆

ナイロン筆

アクリル用として売っているのはナイロン毛。
 

豚毛

アクリルで使うとバシバシになるが、もともと毛が硬いので影響は無い。
 

 ペインティングナイフ

ペインティングナイフ

錆びないタイプのものがいい。
 

 ジェッソ

ジェッソ

アクリルの白色の下地材。アクリル絵の具を混合し着色することもできる。

黒ジェッソ、カラージェッソも売っている。
 

 アクリルメディウム

ジェルメディウム

透明メディウム。絵の具に混ぜると、透明感が増す。
 

モデリングペースト

盛り上げ材。単独または絵の具と混ぜて、画面を盛り上げる。

特に厚く盛り上げるときは、補強にジェルメディウムを同量混ぜる。
 

グロスメディウム

液状のつや出しメディウム。透明感も出る。
 

リキシック

絵の具の練りを硬くするメディウム。軟らかいアクリル絵の具を少し硬くし、色を乾いた後の色に近くする。

絵を明るく描き起こすときに混ぜると、油絵の感触に近くなり描きやすい。

 

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 鉛筆デッサン

鉛筆

三菱ユニで十分だと思う。ハイユニというもう一段上級品が

あるが違いは少ない。トンボ、ステッドラー、ダーウェントなど

の絵画用鉛筆であれば滑らかで描きやすい。

青いステッドラーは少し硬め。
 

練り消しゴム

柔らかくて紙を傷めない。

 

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