絵の具を油で薄めず、厚く盛り上げるように塗る技法。 ゴッホの絵のように、力強く、はっきりした色が出る。 バン=ゴッホ展で並んでいたゴッホの作品は極端な厚塗りで、鮮やかに輝く発色が美しかった。 それに比べ、他の画家の作品が一段くすんで見えることに驚いた。 厚塗りによる強い発色は、油絵の具の大きな特長である。
溶き油やニスで、絵の具を透明に薄めて塗る技法。色に透明感や深みが出る。 例えば、乾いた赤の上に青をグラッシすると、重なって透明感のある紫に発色する。 また、暗部に黒っぽい色などをグラッシすることで、ものの影をより深く暗く強調できる。 グラッシを使って陰影を描くと、リアルで透明感のある表現になる。 油絵の具の透明感を生かした生々しい写実表現は、油彩の古典的な技法である。
1.木づちで木枠を組み立てる。かどの直角を確認する。 2.四辺の中央を順に、張り器で引っ張りながら釘で止める。 3.四隅を引っ張りながら対角の順に止める。八箇所。 4.残りの間を7〜8cm間隔で止めていく。
安いキャンバスでも地塗りを施せば、高級キャンバスとあまり変わらなくなる。 溶き油で溶いたシルバーホワイトを、一層塗っておくだけでもいい。 厚く塗ってでこぼこをつけてもいい。 一層目はキャンバス層との接着が良いように、しっかり擦り込み気味に塗るといい。 使う絵の具は下地用のものかシルバーホワイトなど、乾きが早く堅牢なものをベースにする。 半月から一ヶ月以上乾かしてから使う。 乾きの遅い絵の具は下地に向かない。
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制作途中や仕上がりに、画用紙がデコボコふくらむのを防ぐために水張りをする。 画用紙に水をたっぷり吸わせて伸ばし、パネルにテープで固定し乾かしておく。 水張りしておくと描きやすいし仕上がりも美しい。
水彩紙、パネル、水張りテープ、刷毛、ホッチキス、カッターナイフ、タオル
紙のサイズより、ひと回り大きなパネルを用意する。 1.紙の裏または両面に、刷毛で水を塗る。 水がしみ込んで紙が柔らかくなりよく伸びるまで待つ。 厚い紙は紙ごと水を張ったバットなどに浸けても良い。 水が少ない場合は何度か塗り足す。 2.紙が柔らかく伸びきったら、表向きにパネルにのせる。 3.四辺を水張りテープで止める。水張りテープは裏に刷毛で水を塗ると、のりが溶けて接着できる。 巻きテープに水がかかると全体に固まってしまうので、必要分切っておいてナイロン袋にしまう。 4.必ず水平にして、よく乾燥させる。 *パネルがベニヤなど薄い物の場合、裏にも同じ紙を張ると板が反らない。 テープの色は緑やグレーもあるが、平張りだと白いテープが絵を描く邪魔にならない。
紙のサイズより、ひと回り小さなパネルを用意する。 1.上と同じ要領で紙を伸ばす。水がよくしみ込んで、紙が伸びるまで待つ。 2.紙が伸びきったら表向きにパネルにのせ、引っ張るようにして角に折り目を付ける。 3.折った側面をホッチキスで仮止めする。 4.余った部分をカッターナイフで切る。 5.水張りテープでしっかり固定する。 6.水平に置いてよく乾かす。少々の皺は乾くと消える。
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★A 影を先につける 1.鉛筆で形を取る 2.青い影をつける 3.玉ねぎの色を塗る
★B 影を後でつける 1.鉛筆で形を取る 2.玉ねぎのいろを塗る 3.青い影をつける
結果はそう変わらないが影への意識や、 描きやすさが少し違うかもしれない。 そのほかに、 影と固有色を一度につける、 影はつけない、 固有色はつけない、 などのパターンも考えられる。 例では青い影をつけているが、影の色も いろいろ工夫出来る。
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鉛筆の線を描かないと、やわらかい感じになる。 右の例では、犬の白色は塗り残して表現している。 線は鉛筆で薄く描いて、あとで消している。 下書き無しで、いきなり絵の具で描く人もある。
鉛筆でしっかりと下描きすると絵が引き締まる。 鉛筆のほうが扱いや修正が簡単なので、はじめは 鉛筆でよく描きこんだ上に着彩すると描きやすい。 4Bなどの柔らかい鉛筆で描きこむと、水彩で鉛筆の 黒色が溶けて、絵の具の発色が暗くなるので、気をつける。
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ボールぺんで下書きし、色をあっさりのせる。 短い時間のスケッチなどに便利。 ボールペンの下書きは、ペン画のつもりで描く。 それだけで絵になる感じに描いておくと、後は 塗り絵でも絵になる。 塗り残しをあちこちに作るのがあっさり描くこつ。
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ぐしゃぐしゃにボールペンで線を描いてみたのもの。 絵の具の色は強く、ペンの線は案外目立たなくなる。 ペン画は、間違いなど気にせず大胆に描くのが良い。 塗り残しが軽やかな効果を出し、明るくまとまる。
油性ボールペンや油性マジック、顔料インキで乾く と耐水性になるもの、筆ペンなど、何でも使える。 にじむ水性ペンをわざと使うのもいい。 |
単純な絵だがターナーの上手さがよくわかる。 色を重ねる順番も、模写してみると良くわかる。 この絵は、空から描き始めているようだ。 次に遠景から順に近景へと描き進めている。 色の使い方で、光と影を上手く描き分けている。 ターナーが実際に見ていた風景を想像しながら、 絵を眺めてみると、風景をどう絵にしていったかが わかる気がする。
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少し黒い色をつけたゴム液。小さい部分や細い部分を、白抜きにしたい時に便利。 くっきり抜けるので、そこだけ周りから浮いてしまわないように気をつける。
1.使う筆に石鹸液を染ませる。(筆の毛にゴム溶液が染み込んで、取れにくくならないように) 2.白抜きにしたい部分を、マスキングインキで塗り、乾かす。 3.水彩で塗りつぶす。 4.絵の具が乾いたら、ゴムの膜をこすって剥がすと白く抜ける。紙がはがれることもあるので、注意する。 筆についたインキはこすれば取れるが、だめでもラッカーの薄め液などで溶かせる。
次の二点をしっかり意識してみる。 ★ どの程度、水で絵の具を薄めるか 透明水彩では、白絵の具でなく水加減で色の濃さを調節するが、この水加減が大事である。 水彩絵の具は薄すぎると発色が悪くなるし、乾くと色が薄くなるので心もち濃いめにつくる。 塗り重ねの2層目からは、下の色のせいで塗った瞬間は濃く見える。 塗ったときはちょうどに見えても、乾くとほとんど濃くなっていない場合がある。 思い切って濃すぎるくらいで塗って、乾かしてみるといい。 紙の切れ端などで試し塗りをして、濃さや色を確認してもいい。 ★ どの程度の量、溶いた絵の具を筆に含ませるか 塗る面積に合わせた量の絵の具を、筆に含ませるようにする。 多すぎると邪魔になる。少ないとかすれる。 広い面積を手早く塗るには、塗る面積分の必要量以上の絵の具を溶いてから塗り始める。 途中で濃淡や色を変化させたいときも、先に何色か絵の具を溶いておくと手早く塗りあげられる。
ぬり絵の意識で塗らず、下書きはあくまで目安と考え、筆と絵の具で一から絵を描く気持ちで色をのせる。 極端に薄い絵の具を何度も何度も重ねるのは、画面が汚く弱くなりやすいので避ける。 3層くらい重ねて仕上げるイメージでいい。一回で仕上げるのも美しい。
塗りむらは水彩の特長くらいに考えて気にしすぎない。少しのむらは乾いていく途中に消えてしまう。 半乾き時にさわるのが一番汚いむらになるので、手早く塗ったら我慢して乾くのを待つ。
邪魔なむらは良く乾いてから修正する。
水彩は乾くと色が落ち着くし、発色がきつくて困ることはないので、きれいめ、濃いめで描くのがコツ。 にごらせるのは簡単なので、光が当たった明るい部分や鮮やかな色は、大事ににごらないようにする。 影で暗い部分や、にごった色にする部分はあまり気にせず、汚れすぎたら洗ってやり直してもいい。 色を落とすときは、水をつけた筆などでこすって絵の具を溶かしてから、ティッシュなどで押さえて取る。 布や紙でこすると画用紙が傷む。
郵便番号枠も付いたはがきサイズの画用紙を売っている。自分でカットしてもいい。
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1.ジェルメディウムを塗る。 ジェッソの接着をよくするために塗る。少し薄めてもいい。(グロスメディウムでもよい) 乾くと透明になる。 2.ジェッソ(下地用白絵の具)を水(30%程度)で薄め刷毛で塗る。 一度に厚く塗らないこと。(ひび割れを起こす) 3.良く乾かしてから、次の層を塗り重ねる 4.縦横方向を変えながら、3回以上塗り重ねる。 *半乾きで重ね塗ると、もろもろに剥がれてくる。下層が完全に乾燥してから、重ね塗りする。 ドライヤーを使うときは画面に近づけすぎないように。近づけすぎると気泡が発生する。 ジェッソには自由にアクリル絵の具を混ぜられる。着色済みのカラージェッソも売っている。 途中で紙やすりをかけながら塗り重ねると、より滑らかな下地になる。
発色が良くなる。 筆のすべりが良くなる。 マチエールがしっかりする。
アクリルは油彩より隠ぺい力が弱く、厚塗りしたとき下地の色の影響が大きい。 暗い色を明るい色にやり直すとき、少し明るめの色か真っ白に描き起こしてから色を調整するほうが 発色もよく、やりやすいことが多い。
厚塗りで暗めの色を明るめに描き起こすときに、リキシックを使うと描きやすい。 絵の具の少し混ぜると、練りを硬く色を乾燥後の色に近くする。
アクリルのグラッシは、さわやかで美しい。 グロスメディウムやジェルメディウムを絵の具に混ぜて透明感を強められる。 油彩や水彩に比べて、アクリルは技法を工夫する必要のある絵の具だと思う。
絵の具に混ぜると乾きが遅くなって、ぼかしなどの作業がしやすくなる。 混ぜすぎると乾きが極端に遅くなる。
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