揮発速度の違い 特に理由は無く、揮発油にずっとテレピンを使っていたのだが、スパイクラベンダー油は揮発する速度が 遅く、ゆっくり作業するのにいいとどこかで読んで考えなおした。 グラッシしたときテレピンを使っていると、絵の具を伸ばす途中で粘りが出て筆跡が消しにくかった。 いろいろ試した結果、今はオドレスぺトロールを使っている。揮発がぺトロールよりもまだ少し遅い。 もっと揮発速度を遅くさせたいときは、スパイクラベンダー油をいくらか混ぜる。 ゆっくり作業したい場合には違いが出る。 溶解度 揮発油により、樹脂などを溶かす力、溶解度が違う。 溶けにくい樹脂のニスは、テレピンで溶くように指定されているものがある。 溶解度はテレピンが一番強い。固まった絵の具をとるときもテレピンが一番よく溶かす。
下絵 エスキース 大きな作品にかぎらず、下絵やアイデアを練るためにエスキースを作ることは役立つ。 形にしてみないとわからないことのほうが多い。 大きな作品は縮小版の下絵を作ってから、転写し描くようにしている。
早描き、遅描き 絵の描き方も人それぞれだが、描く速さもいろいろで、いくらかのタイプに分かれる。 ・ じっくり何度も描きなおし完成度を高めるタイプ。 ・ 集中して一気に仕上げたほうがいいタイプ。 ・ こだわりがあまりなく要領よくまとめるのが得意なタイプ。 などに分かれる。性格や性質など人それぞれなように、作品の出来上がり方もいろいろだ。 自分に合ったやり方や考え方を、いろいろ試してみるといい。 早い遅い、かける時間は作品の良し悪しには関係ないし、誰かと比べるのが一番いけない。 性格が変えられないように、自分には向いていない表現もある。 絵を楽しむためにも、自分の絵を描くのがいい。
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紙の色と光 透明水彩では、白色は紙の白色を塗り残して表現する。 絵の具は薄く塗られ、明るい色は特に紙の白色に大きく影響される。 例えば、光の当たった白い壁を描くとき、壁の輝きは紙の白色をそのまま生かして表現される。 つまり、絵全体にわたって、紙の白さが光の表現に生かされる、ということ。 この意味を考えると、紙の色=光の色、と考えてよいことがわかる。 黄色みの紙だと暖かい太陽光の感じが出るし、青白い紙だと雨上がりのようなさわやかな感じが出る。 紙の白色の美しさ 紙の白色は美しい。白絵の具とは違う美しさだ。 紙の白色は紙の繊維の白さで、絵の具で塗った白色は、酸化チタンなど白顔料の金属の色。 紙の白色と絵の具の白色は、物質的に違う。 また透明水彩では、その透明性のため画面全体の色に、紙の白色が影響している。 そこで、一番明るい白は、何も塗らず紙の色を生かすと、全体と調和して美しい。 紙に着色 描く前の紙全体を、薄く着色して描く技法もある。 全体に薄く褐色を塗っておいてから描き始めて、古い感じを出したりできる。
バックで失敗する ものは上手く描けたが、バックを塗ったら絵がつぶれたというのは、とてもよくある悩みだ。 しかしそれは、絵がつぶれたのでなく、まだ完成されていないだけだ。 広い面積のバックは、絵の中で大きな要素なので、バックを塗るとそれまでのバランスが崩れる。 だから、最後にバックを塗って完成しようとしても、まずうまくいかない。 バックのない時は、無意識に白いバックにバランスを取って描いている。 はっきりしたバックを塗ると、全体のバランスが大きく変わる。 だから、そこからもう一度バランスを整え、絵を作り直して仕上げていかなければならない。 いつまでもバックを塗らずに白で残して置いて後回しにするのは、むしろ絵を難しくする原因になる。 絵のイメージが決まっていれば早めに色を考えて塗るのがいいし、初めにバックを塗ってみてもいい。
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画家のデッサンと受験のデッサンの違い あんまり受験のデッサンを勉強しなかったので、卒業後もう一度納得できるまでデッサンをした。 受験調のデッサンというのは、僕は初めからあまり好きではないのだが、少し考えを整理してみた。 受験のデッサン 上手でなくてはならない。または、上手に見えなくてはならない。 合格しなくてはならない。 審査員に、いい評価をされなければ意味がない。 決められたものを、決められた画材で、決められた時間内に、描き上げなくてはならない。 画家のデッサン 上手くて当たり前かもしれないが、下手でも仕方が無い。 自分で、いいかどうかを決める。 好きなものを、好きな画材で、好きに描けばいい。 個人的なものの見方の追及であったり、表現の追及だったりする。 絵の下絵であったり、発想の展開であったりする。 デッサンの必要性 生々しい写実表現には、デッサンは必ず必要になる。 スポーツ選手の素振りや筋トレ、ランニングみたいなものかなと思う。 なくてもプレーは出来る。
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黄金比を使う 黄金比の幾何学的に整った美しさを、絵画に利用する。 数学的なことはともかく、黄金比を使って構図を決めると、まとまりやすく便利。 画面に黄金分割の補助線をいろいろ引いて、それを頼りにものの配置を決めるだけでもそれらしくなる。 デザイン的にバランスがいいだけで、無内容な絵にならないように気をつける。 黄金比とは
キャンバスのFサイズは黄金矩形を二つ並べた形になっている。Pサイズは√2比。Mサイズは黄金矩形。 線分比と面積比が同じ比なので、絵画に合うのかもしれない。 数学的な詳しい説明はこちらのサイトで 岐阜県教育用コンテンツ黄金比のいろいろ 黄金分割の使用例 黄金比を使って構図を決めたS100号の絵について、思い出して補助線を引いてみた。 赤い線が、まず始めに描いた画面の2等分線と、黄金分割の線で、それを元に黄金矩形を作っている。 補助線を頼りに、ものの配置を決めていった。 そうして描いてみて、最終的にいいかどうかは、自分の感覚で決定する。 大きな画面の場合、とりあえず基準があると手がかりになるし、まとまりやすい。
ルート比 1:√2、 1:√3、 1:√4=1:2、 1:√5
など 辺が1の正方形の、対角線は√2。 使い方は黄金比と同じで、好きな比を元に画面に補助線を引き、それを手がかりに構図を決める。 紙サイズA版、B版は1:√2。半切しても、同じ比になるので無駄が出ない。 整数比 シンプルな比例。1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、2:3、2:5、3:4、3:5など、 画面を幾等分かする線を引くと、それだけで整数の比が利用できる。 風景画の水平線を画面の3分の1にするようなことも、整数比を利用していることになる。 それぞれの比のイメージ 僕のイメージでは、黄金比は自然で繊細、動きが出る感じ。 1:√2の比はすっきりと美しく明快な感じ。 整数比は、シンプルで強く、どっしりした印象がある。 使い方にもよるのだろうが。
黄金比などを使うと、なぜ美しいのか 実際使ってみると、確かに便利だ。 自然のなかにも黄金比が現れることがあるということだが、なぜ美しいのだろう。 整っていることの美しさ 一般に、でたらめなゆがんだ四角形より、正方形、正三角形、正五角形など整った形を美しいと感じる。 同じ長さ、大きさなどで揃っていると、見ていてすっきりする。わかりやすい。 比例を画面に使うと、長さや面積がその比例である程度整えられる。それで、美しく見えるのではないか。 また、黄金比は、黄金矩形と正方形で成り立っていることも美しさの秘密か? なぜ整っていると美しく感じるのか ひとつの植物はその植物のルールで育つ。動物もそうだし、無機物にも規則はある。 自然のものには、それぞれに規則性があり、われわれが目にする自然は、それぞれに整っていて、 そこにそれぞれの統一感が現れているはずだ。 それで統一感、規則性、整ったバランスを、本能としても好ましいと感じるのではないか。
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